キャラクターたちの明暗(3)

「ゆるキャラ」たちの死屍累々。もともとが、とてもかわいい(一部例外もありますが)設定のキャラクターたちだけに、忘れ去られ、見られることもなくなってしまうのは、とても残念な気がします。

 
そうしたキャラたちの中で、もっぱら異彩を放ったのが、「ふなっしー」でしょう。ご存知、船橋市非公認のゆるキャラ。いち市民が勝手につくりあげ、各地のイベントやテレビ局などをゲリラ的に荒らしまわって、一躍、知名度が全国区になりました。
 
実は船橋市には、市の予算を使ってデザイン・告知された別のキャラクターがいたのですが、あまりにも没個性的でつまらない(失礼!)ため全く浸透せず、非公認のふなっしーだけが有名に。そのギャプに対し、当初は多少の行き違いが生じたりもしたようですが、今では、市から公式キャラと認定はされずとも、推薦のような距離感で、とても仲良くなっているようです。
 
このことは、とても示唆的です。草の根から、自発的に出てきたキャラクターの持つ熱量が、公式キャラを圧倒してその座をいわば「奪い取ってしまった」事例ですね。もちろん、後からでもこのキャラを認めた市側の反応も偉いと私は思いますが、なによりも、逆風をものともせず、暴れまわり、跳ねまわり続けたそのエネルギーこそが人々の耳目を集めたのです。
 
ところで・・・冒頭にあげた現代のゆるキャラ、「ニクレンジャー」。Twitterのカジュアルなツィート発、奇跡の企業間コラボという建てつけで実現したキャラ集団ですが、成立経緯は、たしかに「ふなっしー」同様、スポンティニアスで熱量があります。各企業の自由なツィート担当者が、お互いにうまい具合にじゃれあって、ノリでデザイナーなどを巻き込み、キャラが勝手に増えていく。きわめて現代的で、ソーシャル的です。もちろん、拡散するパワーはかなり・・・あるように思えるのですが、なにか・・・なにか・・・なんとなくなにかが違うような気もしないでもないのです。
 
この企画が、別に自然発生的なものではない、と言いたいわけではありません。おそらく、仕掛けがあるわけではなく、本当に各社の「中の人」が、面白がってやっているのだと思います。しかしながら、
 ・既によく知られた企業群の公式アカウントによるお遊び
 ・あやしげで破天荒な感じが皆無
 ・なんとなく、内輪でじゃれあっている感も漂う
ということで、既に安定した、信頼感の確立された、炎上などのネガティブなリスクがまるでない、いわば無菌環境下でなされたお遊びであるがゆえに、スポンティニアス感が相殺されてしまったのかな、という感じを受けるのですが、どうでしょうか。
 
ふなっしーの場合、自己表現したい!(ついでに船橋の梨の妖精として大暴れしたい)という切羽詰まったモチベーションがありました。他の、成功したゆるキャラ群には、ユーザーに対し、ゆるく受け入れてもらえるような、いわばやさしい顧客目線を感じました。ニクレンジャーは、このどちらとも違います。それが、周囲の受け入れ方に微妙な影響を与えた部分があるのではないでしょうか。
 
人の心に訴えるキャラクター作りは、奥が深いものだと思うのです。

 

 

Photo credit: Ryouhei Saita on Visualhunt.com / CC BY-NC-ND