ソーシャルメディア・マーケティングの収益化

 

ソーシャルメディア・マーケティング(以下SMM)に関わる仕事をやらせていただいて、もっとも頻繁に聞かれることは、やはり、「それが収益にどう結びつくのか?」ということです。

 

これは、この分野の仕事に関わる者にとって、永遠のテーマですよね。

 

 

SMMの目的が広報である場合、プロジェクトのゴールは、収益ではなく、広報効果を挙げること、になると思います。

その場合の定量的な指標についてですが、一般的には、リーチ数(広報メッセージに接した人の数)や、広告換算値などが使われることが多いようです。

「広告換算値」とは、ざっくり言うと、自社が発した広報メッセージが、新聞・雑誌・テレビ等のメディアにてどれだけ露出されたかを調べ、それを「これがもし広告だったら幾らくらいかかるか」という数値で換算したものです。メッセージの浸透度までは測りきれませんが、まずはどのくらいの範囲をカバーしたのか、わかりやすく把握することはできます。

これら、厳たる数値で表される測定結果は、誰の目にもわかりやすく、ために重んじられることが多いのですが...それが、そのまま「広報効果」なのか?と問われると、もちろん、必ずしもイコールではありません。

 

SMMの目的がなにか別のものである場合...たとえば、ブランドのファンとのコミュニケーションであったり、あるいは、商品・サービス選択をする際のブランドの想起率向上であったり...それぞれの目的に応じた指標を適宜設定して、効果を測定していくべきだと思います。

前者の場合は、実際のコミュニケーションの質と量、そしてその結果、好感度やロイヤリティがどの程度向上したか。後者の場合は、実際「そのとき」の想起率がどのくらい向上したのか。ともに、アンケート調査などを行って、最終的な効果を確認することができると思います。

 

いずれにせよ、冒頭の「SMMが収益にどう結びつくのか?」という問いかけに対して、一般的には、

「ソーシャルメディア・マーケティングは広告とは違う」

「ソーシャルメディアへの投資は、短期的な収益には結びつきにくい」

「長期的なROI(投資対効果)を考慮する必要がある」

などといったところが、答えになることが多いと思われます。

 

 

 

と、いうことで...。

 

なんとなく、「もわもわ感」が残ってしまうのですよね(笑)。

 

投資する企業側としては、投資した以上は、その結果をすぐに回収したい、できればすぐに、それ以上のリターンを得たい。SMMを実施(ないし、コンサルティング)する側としては、なるべく長期のROIのもと、腰を据えて取り組みたい。

お互いに、どこか思惑というか期待値が微妙にすれ違い、なんだか「もわもわ」しながらプロジェクトがスタートする、そういったケースが多くあるような気がします。

 

 

 

話は変わりますが、以前、とあるセミナーに参加させていただきました。テーマは、ソーシャルメディアやコンテンツマーケティングを活用して収益を得るための取り組みについて。特に、アメリカでの最新事例がいくつか紹介されました。

 

たとえば...ユーザがCGM的にリツィートしたりシェアしたりした商品情報を、ECのフローの中に直接取り込むAPIが存在し多く利用されている、リスニングすることでソーシャルメディアでのユーザの会話を起点に得られた情報や気づきをもとに、その他の施策(広告、POPなど)を施すことによって多大な収益に結びついた、等々。

なるほど、と思える新鮮なエピソードも多々紹介されたのですが、聴講する各社の現場マーケッターたちの反応は、ちょっと微妙であったかと記憶しております...もちろん内容は前向きに理解しているものの、それが今すぐ日本の自社に当てはまるやり方なのかどうかについて、まだちょっとした距離感を感じている風、でした。

 

上記のアメリカの収益化エピソードは、いずれも、単なる広報、単なる広告、単なるソーシャルメディア担当者だけで個別になんとかした、という事例ではありません。いずれも、ソーシャルメディア以外の、他の役割の人々を巻き込み、(おそらくは)上級管理職の支持や許可も得た上で部門横断的に成し遂げられた成果であろうと考えられます。

もちろん、ソーシャルメディアという「場」自体の規模が大きい(英語圏)アメリカのこと、収益化した際のリターンもまたでかいため、大規模な取り組みがしやすい、ということもあるでしょう。しかしながら、既存組織の役割にソーシャルメディア業務を当てはめるのではなく、顧客の居るソーシャルメディアにたいし、組織のほうを最適化させていくという考え方からは、われわれも学ぶことができると思います。

終了後の質問や、アンケートなどでもよく理解できたのですが、まだまだ、日本国内のソーシャルメディア活用は本格化したばかりで、自社のプロフィットにどう繋げていくのか、その方法について各社さんとも一生懸命に模索中であるようです。

逆に言えば、きちんとした目的設定と社内の意識共有ができれば、自社ならではの取り組みが、さまざまに試行錯誤できる余地があるということ。

 

「もわもわ感」なく、参加当事者同士、笑顔でユーザに接したいものですよね。